紀伊國屋書店新宿本店3Fでブックフェアが始まりました!


お近くに寄った際には、ぜひおたずねください。
フェアを企画・立案した同店の書店人さんには、発売前に『若者を見殺しにする国』のゲラ全文を読んでいただきました。ゲラの読了後、その書店人さんは千駄木の喫茶店で、本について私と数時間、議論しました。
本が出る前に、これだけ熱心にアプローチをかけてきた書店人は、この方がはじめてです。


力の入った企画です。
怒濤の12面陳列です。
期間は、11月1日から30日まで。
なにとぞよろしくお願いいたします。


以下、「企画者の辞」と「選書内容」です。

企画者の辞


 赤木智弘さんについて何かを語るとき、私は書店員としての「不真面目さ」を告白せざるを得ません。
 「論座」での論文発表後しばらくして、いろんな人が批判しているあれこれの言葉のほうがなぜか先に耳目に入ってきて、正直なところなんとなく敬遠していました。ろくに読んでもいないのに。
 今夏、赤木さんがご自身のWEBで「丸山眞男をひっぱたきたい」全文を掲載されたのを機に、「読まないであれこれ思うのは失礼だ」という当たり前のことを思い起こし、遅ればせながらちゃんと読んでみたのでした。
 一読して、発表直後に赤木さんに向けられた批判のほうが、どうも余りかみ合っていないような気がする、という感想を持ちました。要するに、赤木さんに共感したということでしょう――もちろん、批判は批判としてそれぞれにもっとちゃんと読まなければなりませんし、これらについては日を改めてしっかりと取り組んでみたいと思っています――。
 四大卒の正社員でもある私が、赤木さんに対して安易に「共感」という言葉を使ってよいのか、私には分かりません。同じ1975年生まれとして、私が一方的になんとなく時代感覚を共有している気になっているだけかもしれません。また、赤木さんの主張を、その表現の仕方も含め全面的に支持しているかと言われると、必ずしもそうではない気がします。
 ですが、書店員としての「勘」とでもいいましょうか、「何か大切なことを赤木さんは言っている」と感じます。内容は全く異なりますが、小林よしのりさんの『戦争論』(1998年発行)に通じる、「この時代に、この人でしか書き得ないもの」を感じるのです。読者に何かを突きつけるのです。
 今回のフェアでは赤木さんの初の単著『若者を見殺しにする国』と、その文中に引用・言及された著作・論者を中心にセレクトしました。今後ますます活躍するであろう論客、「赤木智弘」の世界への誘いとなれば幸甚です。

<フェア選書内容>


●『若者を見殺しにする国』&言及された著作・論者たち


赤木智弘『若者を見殺しにする国』(双風舎
本田由紀ほか『「ニ−ト」って言うな!』(光文社)
中野独人電車男』(新潮社)
大原康男教育勅語 改訂版』(神社新報社
堀井憲一郎『若者殺しの時代』(講談社
一橋文哉『宮崎勤事件』(新潮社)
森昭雄『ゲ−ム脳の恐怖』(日本放送出版協会
川島隆太『天才の創りかた』(講談社インタ−ナショナル)
御手洗冨士夫御手洗冨士夫「強いニッポン」』(朝日新聞社
小林美希『ルポ正社員になりたい』(影書房
酒井順子『負け犬の遠吠え』(講談社
横田増生アマゾン・ドット・コムの光と影』(情報センタ−出版局)
森達也『A』(角川書店
森達也『A2』(現代書館
浜井浩一『犯罪不安社会』(光文社)
広田照幸『日本人のしつけは衰退したか』(講談社
内田樹下流志向』(講談社
NHKスペシャルワーキングプア」取材班『ワ−キングプア』(ポプラ社
佐藤俊樹『不平等社会日本』(中央公論新社
苅部直丸山眞男』(岩波書店
雨宮処凛『生きさせろ!』(太田出版
内橋克人『悪夢のサイクル』(文藝春秋
宮島理就職氷河期世代が辛酸をなめ続ける』(洋泉社
エ−ブラハム・ハロルド・マズロ−『完全なる経営』(日本経済新聞社
上野千鶴子『生き延びるための思想』(岩波書店
井上寿一日中戦争下の日本』(講談社
森田ゆり『子どもが出会う犯罪と暴力』(日本放送出版協会


赤木智弘をより理解するための一提案


管賀江留郎『戦前の少年犯罪』(築地書館
小林よしのり『新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論』(幻冬舎
水月昭道高学歴ワーキングプア』(光文社)
杉田俊介『フリーターにとって「自由」とは何か』(人文書院
生田武志『ルポ最底辺』(筑摩書房
生田武志『「野宿者襲撃」論』(人文書院
雨宮処凛雨宮処凛の「オールニートニッポン」』(祥伝社
雨宮処凛プレカリアート』(洋泉社
雨宮処凛『右翼と左翼はどうちがう』(河出書房新社
伊集院光『のはなし』(宝島社)

なお、写真は同店3Fのフェア会場です。