若手左翼の対立構造をどう読むか〜平和系左翼と労働系左翼〜

 当ブログでは、議論が多岐にわたり、収縮の様相を見せない。ただ、その中で仄かに見えるのは、若い左派に対立構造があるのではということだ。かなり大雑把な分け方をしているし、両者には重なり合う部分もあるが、便宜的に二分する。
 平和・護憲を基軸とする「平和系左翼」と、安定雇用・氷河期世代救済を訴える「労働系左翼」だ。別に「左翼」を「サヨク」としてもよい。前者は攝津正氏に代表されるフリーター労組系の人々や、ピースボートなどのNPOに存在する。後者は赤木智弘氏や後藤和智氏などが挙げられる。前者には年長世代のバックアップがあり、後者には若者自身のインターネットを利用した地下水脈のようなネットワークがある。
 氷河期世代は、主として労働という局面で苦しんでいる。ゆえにミクシィの労働系のコミュには若い層が集まり、また本田由紀氏などの論客には一定の支持が集まっている。10年ほど前から若年層の支持を集めている宮台真司氏も、いわゆる「平和サヨク」には否定的だ。
 また、若い「労働系左翼」と反「オタクバッシング」の層は、かなりかぶっている。後藤和智氏が熱心な声優ファンであることはよく知られる。
 さて、このような若手労働系左翼の問題意識に、年長世代を中心とした平和系左翼は、答えきっているか。年長世代は、若い平和系左翼がオタク文化と親和性があまりなく(少なくとも、私が見る限りない)、雇用の問題を世代間対立の構造としないことをいいことに、若い平和系左翼を尖兵として労働系左翼と対立させ、若年バッシングに荷担させる構造があるのではないか。
 いたずらに対立構造に巻き込ませられるのはよくない。そこで、平和系左派と労働系左派、あるいは高齢左派と若年左派の対話の場を設けることを提案したい。
 具体的には、両者がシンポジウムなり座談会なりをすることである。平和系左派からは攝津正氏(フリーター労組)とNPOから誰か一人、労働系左派からは赤木智弘氏と後藤和智氏、レフェリーとしての年長左派として日本の「左翼」の総本山たる『週刊金曜日』の北村肇編集長、若年層をジャーナリズムスクールで鍛え上げていた武田徹氏が、あるいは若手から支持を集めている宮台真司氏が適任ではないか。この二項対立を軸に、平和・労働・表現の自由・世代間対立の問題を考える対話の場を設ければ、両者の対立構造の融和が望めるのではないか。
 世代間対立の構造と、若手左派内の対立構造、そして赤木論文をめぐる諸論点。この辺は絡み合っており解きほぐす必要がある。