シンデレラ・ボーイとしての赤木智弘

 話が行き詰っているので、ちょっと方向性を変えた、気楽な話を書いてみる。
 物書きとしてみると、赤木智弘は類まれなる強運の持ち主である。シンデレラ・ボーイと言ってもよい。
 私はライターである。だが、無名である。署名原稿を書くことは多いが、あまり知られていない。社会現象を巻き起こすような仕事は、まだしていない。その立場からすると、赤木が妬ましく思える。
 聞いた話では、赤木のところに『論座』編集部の中の人がブログを読んで、メールで原稿執筆の依頼が送られてきたとのことである。
 そんなことあるわけねぇだろ、と小一時間問い詰めたくなる。それはそれで、羨ましい。まあ、天下の朝日様の月刊誌から、いきなり依頼が来るだけで幸運である。それでも、2007年1月号に「赤木論文」が掲載された時は、さほど扱いがよくなかった。表紙にはタイトルは掲載されなかった。
 ところがこれが大反響で、サヨク論壇が大揺れに揺れた。何せ、自分たちの言うことを聞いてくれそうな「若く貧しい」人が、反旗を翻したように見えたからだ。
 その後同誌での反論大特集、赤木による再反論を経て、ついに著書執筆に至る。
 書き手として、書いたものがここまで反響を巻き起こし、次の仕事につながるのは、信じれらないような話である。
 物を書く世界の人は、名もなく貧しく美しく終わっていく人が多い。赤木も私も貧しい。だが赤木は名が知られている。颯爽とデビューし、名を残した。
 強運には目を見張る。一般のライターには、死ぬまで名前を知られず終わる人がいる。しかし赤木は日本思想史に名を残す重要な論文を残した。後はこれをてこにして、どんどん仕事量を増やすことができる、はずである。
 このまま頑張って、赤木は文筆で稼げるようになれば、と思う。
 私は赤木に会ったことがあるが、人格的に問題があるとはとても思えないし、むしろ常識的な礼儀正しい人だと思う。だれかいい人でも見つかれば。それも赤木の望むような「強者女性」でもいてほしい。
 えいやっ、と、勢いだ。このまま突き進め。
 頑張れ赤木。書け。俺も書く。