「はじめまして」さんへのレス


12月15日のエントリーでコメントをお書きになった「はじめまして」さんへのレスが長くなったので、エントリーとしてアップします。


コメントを書き込むのはご自由です。しかし、せっかくお書きになるのでしたら、このエントリーだけでなく、せめてこのブログの冒頭から流し読みをしていただくのがよいと思います。

そもそもの目的は
この論文に共感する人が増えるところから
国民的議論に発展していく過程で世論となり
政策に影響を及ぼし、状況が改善されるべきではないかと。

まったく、おっしゃるとおりです。では、赤木さんの議論が「世論」となり、「政策に影響を及ぼ」すためには、どうすればいいのでしょうか?
そうするためには、「戦略」が必要となります。その戦略のひとつが、論文を拡張したかたちで「書籍化=活字化」し、戦略を進めるためのツールとして活用するということです。

こういうオピニョンリーダーになり得る貴重な人物を
単なる物書きに堕してしまうのは
それこそ企業側となる出版社の商売策略にハマることになり
論文の主張と矛盾することになると思うのですが…

「出版社の商売策略」うんぬんについては、双風舎のブログでも読んでいただき、「はじめまして」さんが毎日食べている食べ物の生産者にも、グローバル企業から零細農家まで存在するということをご理解いただければと思います。


そして、「オピニオンリーダーになり得る貴重な人物を単なる物書きに堕してしまう」というご意見は、「はじめまして」さんの願望を赤木さんに投影しただけの意見であり、ある意味では赤木さんに役割を押しつけているともいえませんか。
赤木さん自身は、みずからが置かれた環境をどうにか脱出することが第一義であり、いまよりマシな生活を送るための手段として、ライター業を志しているわけです。

どうせやるなら、雑誌・書籍に書くのではなく
ネット上でやってもらいたいですね。

ネット上でいくら何を書いても、なかなかお金にはなりません。ライターとしての実績も、認められません。
また、雑誌に記事を書いて、すこしばかり論争が起こったからといって、その書き手が忘れられずに世の中に影響力をおよぼすことなど、ほとんどありません。雑誌は、つぎつぎに新しいものが生まれ、古いものは消えていきます。


ようするに、世に残そうと思ったり、人びとに忘れられないようにするためには、なんらかのかたちで「刻印」する必要があるんです。


私ができることは、彼の言説を本として刻印することでした。本にすれば、図書館に置かれたり、読者が購入して書棚に置いたりすることができます。また、新聞・雑誌・テレビなどのマスコミに対するアピールを考えても、雑誌の記事やネット上の文章より本というかたちにしたほうが、有効だという現実があります。
実際、こうした戦略が有効に働いていることは、いまさらいうまでもありません。


このたび本を出したのは、ライターとして業界や世の中に認知されるためのツールとして、この本を赤木さんが使えたらいいなあという思いが、私にはありました。
しかしながら、赤木さんの本を出して売れるかどうかは、出してみなければわかりません。一般的には無名ですし、本のためにどんな文章を書いてもらえるのかも、当初はわかりませんでした。


有名であったり、売れそうな著者であれば、私ごときが声をかける前に、もっと大きな出版社の人が赤木さんに声をかけていたことでしょう。つまり、赤木さんの本については、出しても売れるかどうかわからない、というリスクがありました。このリスクは、出版社側にある程度の覚悟がないとクリヤーできないような、大きなリスクだといえます。


こうしたリスクがあるにもかかわらず、私がなぜ赤木さんの本を出したのか。それは、このブログや双風舎のブログにさんざん書きましたので、繰り返しません。赤木さんが「企業側となる出版社の商売策略にハマ」っているのかどうかは、それを読み直してから判断してみてください。


赤木さんは、貧困から脱出するための契機として、ライター業を目指しています。まずは自分から、です。


あと、すべての双風舎の本は、刊行からしばらくすると、アマゾンとGoogleで全文公開します。そうなれば、ネットカフェでも『若者を見殺しにする国』を読むことはできます。さらに、このブログに関わる方々やミクシーの赤木コミュの方々が、熱心に図書館への新刊リクエストをしてくれいることから、すこしずつ図書館にて無料で読めるようになってきています。


最後に。思ったことを書き込むのは自由ですが、ここは2ちゃんじゃないんですから、ただただクレームを書いたり自分の意見をそのまま書き込むのではなく、とりあえずネット上で読めるような関連文章を読み込んだうえで書き込んだほうが、意味のある議論につながると思います。