ニュース検定に無視される氷河期世代問題

 「ニュース時事能力検定試験」という資格試験が、毎日新聞社系の団体により行われている。その公式テキストの中で「団塊の世代が大量リタイアする時代」という項目が、136ページから139ページにかけて繰り広げられている。
 小見出しを取り上げると以下のようになる。
・70歳までの職場確保が課題
・急速に進む少子高齢化社会
・60〜64歳の男性の労働力率70.3%
・働ける社会が必要
 この中では団塊の世代の大量退職で労働力が不足し、技術やノウハウの伝承が困難になると述べている。また、定年退職後の活発な団塊世代の消費活動に期待する記述も見られる。高齢者の労働に期待をしている記述で締めている。
 その一方、氷河期世代の問題に関してはこの本ではまったくといっていいほど触れられていない。
 団塊世代大量退職問題はニュース検定のテキストになる一方、氷河期問題は存在しないかのような扱いだ。どうにも納得いかない。
 ニュース検定は、新聞社が力を入れ、出題も新聞記者が行う。テキストの作成にも、記者が関与しているだろう。新聞社的な価値判断としては、氷河期世代の塗炭の苦しみよりも、「栄光」の団塊世代の老後の華々しい活躍の方が大事なのか。
 団塊世代の動向が注目すべきもので、氷河期世代は無視されるものなのか。同時代にも氷河期問題が見過ごされていることの証左である。

 追記 言及した本へのリンクが間違っていたので差し替えました。